【オムツ袋にはパン袋が防臭効果が高くておすすめ!】でもなぜ!?その理由について徹底調査!

【オムツ袋にはパン袋が防臭効果が高くておすすめ!】でもなぜ!?その理由について徹底調査!
【記事内容】パン袋がおむつの臭いを抑えるのに有効である事は多くの記事で書かれていますが、なぜ防臭効果があるのか?その理由について調査した結果をご紹介します。

 

こんにちは。筆者のma2ka(マニカ)です。

 

食パンやバターロールのパン袋がくさいオムツを入れる袋として有効!って内容がちまたのネット記事で書かれています。

チビちゃんの子育て真っ最中のパパさん、ママさんであれば一度は聞いた事があるのではないでしょうか?

 

かく言う我が家も、基本的には防臭効果のあるおむつ袋を使用していますが、う〇ちが取れないオムツに関してはパン袋に入れてからおむつ袋にいれて二重の対策をしています。

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パン袋にいれると完全に臭いがなくなる訳ではありませんが、確かにネット記事にあるようにくさい臭いがある程度抑えられている感覚はあります。

 

しかし、ここで素朴な疑問が浮かびます。

『なぜパン袋は防臭効果があるのか?』

 

我が家では、文系出身の嫁さんはそんなの気にせず、『ニオイしなくなったからOK!ラッキー!』っていう感じの結果オーライで、別に理由はどうでもいいじゃん!細かい事は気にするな!ってタイプです。

 

一方、理系出身の私はどうしてもその理由が気になります。結果オーライではなく、ニオイが抑えられるに至ったプロセスを知りたいわけですよ(小難しい事言うなってツッコミはご遠慮下さいw)。

 

そこで、『なぜパン袋は防臭効果があるのか?』についてこれまで私が生きてきて学んだ化学の知識を総動員して考察してみたいと思います(かなり大袈裟w)。

 

※これから記述する内容はあくまで個人の推測ですので、事実かどうかはわかりません。あくまで参考レベルで読んで頂けましたら幸いです!

 

ウダウダと考察が長くなるので、先に結論を言います。

パン袋に防臭効果があるのは、

『パン袋に利用されている素材のガスバリア性が高い(ガスの透過性が低い)&適度な厚みがある事で臭いをブロックしてくれる』 

(※繰り返しになりますが、この結論は事実ではなく、あくまで個人的推測です)

 

それでは上記の結論にいたった理由をご紹介していきたいと思います。

 



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パン袋やポリ袋の素材を調査

パンの袋やその他のいわゆる一般的にポリ袋と言われているモノの素材を調べてみました。

ポリ袋には大きく分けて2つあります。

①ポリエチレン (以下、PEと略記)
②ポリプロピレン (以下、PPと略記)

 

PPとPEって何が違うの?って話ですが、湯本電機㈱のWebサイトの記事が分かりやすかったです。

 

簡単に説明すると、まず一般的なプラスチック(樹脂)は『主鎖』と『側鎖』からなります。イメージとしては、透明な髪の毛をイメージしてもらって、プラスチックはこの透明な髪の毛がより集まって色々な形を作っています。

 

ここで長い髪の毛は『主鎖』にあたります。

一方、髪の毛を近くで良くみると主鎖である一本の毛から小さな枝毛があったりしますが、この枝毛が『側鎖』にあたります。

PEとPPは主鎖の構造は基本的に同じで、側鎖である枝毛の長さが違います。PPの方がPEよりも若干長いです(厳密には枝毛4本あるうちの1本だけ長い)。




ちなみにもう少し詳しくいうとPPもPEもさらに2種類に分ける事ができます。

 

PPは①CPPと②OPPの2種類に分類されます。

①CPPは無延伸ポリプロピレンといい、製造する際に延ばさずにフィルムを作る製法になります。

一方で②OPPは二軸延伸ポリプロプレンといい、製造する際に縦と横方向の2つの軸方向に延ばしてフィルムを作る製法になります。

ここでは、PPには①CPPと②OPPがある事を頭に入れておいて頂くだけでOKです。

 

一方でPEは①LDPEと②HDPEの2種類に分類されます。

①LDPEは低密度ポリエチレンといい、②HDPEは高密度ポリエチレンといいます。

PP同様に、ここではとりあえずPEは①LDPEと②HDPEの2種類あるという事を頭に入れておくだけでOKです。

 

んで、今回のテーマであるパン袋はだいたいはPPのうちのOPPか、PEのうちのHDPEで作られています。ここが後でミソになってくるので覚えておいてくださいね☆

防臭のメカニズムについて

(1) ニオイを袋の中に閉じ込めて外に出さない

さきほどプラスチックは髪の毛をより集めて形作っているイメージといいました。

髪の毛の間には隙間が存在し、この隙間をニオイのモトが通過して外に出てしまうとクサイと感じてしまいます。そこでこの隙間をなるべく小さくしてあげることでニオイを外に出さずに袋の中に閉じ込めておけます。

極端な話、金属容器の中にニオイの発生源があっても封をしておけばニオイは外に漏れませんよね?これは樹脂の隙間よりも金属の隙間の方が小さい為、ニオイの発生源が外に出ないって仕組みです。

 

どの程度ニオイが外に出にくいかの指標になるのがガスバリア性(ガス透過性)になります。酸素や窒素などのガスが袋の外にどの程度漏れるかを定量的に測定します。

後述しますが、今回はこのガスバリアー性が効いてると結論づけています。




(2)ニオイを袋表面に吸着させて外に出さない

これは袋の内側の表面にニオイを吸着(トラップ)させて、ニオイを外に出さない方法です。

大きく分類すると吸着方法には2つあります。

 

一つはさきほど述べた側鎖極性基という化学的に別のモノと反応しやすいモノ(化学的には官能基といいますが、決してエロではありませんw)を表面に付けます。

イメージとしては、ゴキブリホイホイの中をイメージして下さい。ゴキブリがニオイの発生源だとしたら、ゴキブリホイホイの中の壁面の粘着質が極性基(官能基)にあたります。ニオイ(ゴキブリ)は極性基(ねばねばな粘着質)にくっつく事で外に出られなくなります。

 

ちなみにパン袋のPPやPEは炭素と水素から出来ていて極性基を持たないので吸着性はほぼないはずです(推測)

 

※厳密には添加材として極性を含むモノも入っているようです。市販のPPやPEにどういう添加材がどの程度入っているかを調査した文献もあったので、その辺はもう少し吟味して記載したいと思います。

ポリ袋に含まれている添加材について書かれている文献に関しては、本記事の最後の参考文献(1)、(2)をご参照下さい。

 

ニオイを吸着する方法の二つ目は活性炭がまさにそれですが、小さな迷路のようにいり組んだ形(穴)をいっぱい作って、臭いのモトを穴の中に閉じ込めてしまう方法です。

前者の極性基を用いて化学的に吸着するのではなく、物理的に形状(複雑な構造)でニオイのもとを抑える方法となります。

 

イメージとして、先ほどの例え話のコキブリホイホイの中(袋のフィルム内側から外側までの通り道)が迷路になっていて幾つもの行き止まりがあり、迷路の行き止まりでゴキブリ(ニオイのモト)が身動きが取れなくなって結果的に外に出られなくなる(袋の外側にニオイが漏れない)といった感じです。

 

結論

下記の記事中に各樹脂ごとのガスの透過性が記載されています。

酸素バリヤー性を有する食品包装材料(3)

これをみると、パン袋として利用されているHDPECPPLDPEよりもガス透過性が低い(=ガスを通しにくい)という結果になっています。

酸素のガス透過度はHDPEが2900、CPPが3800に対してLDPEが7900です(単位は㎝3/m2・24h・atmで、1日に1㎡の面積を圧力差1気圧でどの程度の体積のガスが透過するかを示していて、数値が高いほどガスが透過する=ニオイが外にもれる)。

 

ですのでLDPEに対してですが、パン袋として利用されているHDPEやCPPはガスバリヤー性が良いので、結果的に一般的な袋よりもニオイを抑える能力に優れると結論づけました、、。

しかし、この推測は一般的に利用されているポリ袋がLDPEが最も多いという考え前提のもとで成り立っています、、、、。どうしても推しが弱くなっていまいますね。

 

補足:ガス透過度にはフィルム(袋)の厚みが加味されていませんが、厚みが大きい方がニオイが透過しにくいです。ですので、素材の厚みの影響もありそうです。パン袋の厚みは一般的な袋の厚みより大きい可能性もあり?(苦しい言い訳w)。

というか、後述のメーカーさんの見解にもあるようにPPやPE自体にそれほどガスバリア性がなくても、袋の厚みがあればニオイが漏れにくいので、パン袋が一般的な袋(スーパーの小分け袋やコンビニのレジ袋)より厚みがある=ガスバリア性がある説が有力では?と思っています。

 

若干、いや~結構強引な解釈ですいません。

 

この他には『パン袋に残っているパンの臭い成分自体が臭いを吸着してくれる』や『PEやPPに添加されている添加材の極性基がニオイのモトを吸着してくれる』など考えましたが、どれも納得のいくデータを探しきれませんでした。

実際に防臭袋の製造メーカーに確認した結果

餅は餅屋って事で、実際にオムツの防臭袋(商品名:POST)を製造している機能素材株式会社様に問い合わせてみました。

問い合わせ内容は以下の通りです。

こんにちは。

いつも子ども用オムツの防臭袋にお世話になっております。
しょうもない質問で恐縮なのですが、一点教えて頂けないでしょうか?

ネット上の記事でパン袋がオムツの防臭袋として効果があるといわれており、実際に私も利用しています。

しかし何故パン袋に防臭効果があるのか?そのメカニズムについて、防臭袋の技術のプロである御社に教えて頂けないかと思っています。

参考までに私なりにパン袋が防臭効果ある理由を推測した記事を下記いたします。

【オムツ袋にはパン袋が防臭効果が高くておすすめ!】でもなぜ!?その理由について徹底調査!

以上、お手数おかけしますが、ご教授いただけましたら幸いです。

すると、早速担当者様からご回答がありました。

(メーカーさんにとって時間取られるだけのような質問に対して紳士にご回答頂きましてありがとうございます。)

 

メールありがとうございます。

まさに書いてある通りで、

ガスバリア性=防臭性、関係大きいです。

またガスバリア性は、より厚い、高密度、未延伸が高くなります。

使い捨てのポリ袋より食品包装用の袋が、

より値段の高いフィルムを使うことができるのではないかと思います。

PE,PPの弱点はガスバリア性です。
オムツなどの防臭袋にする場合、

薬剤や他の樹脂を練り込む、もしくは数層にすることにより、
安価ながらガスバリア性を出しているのではないかと思います。

ちなみにパンの袋はどちらのブランドですか?
パン用も多様で素材もまちまちですので、メーカによって効果に違いがあると思います。

ちなみに当社のツイスターロックは、

PET(ポリエチレンテレフタレート)
に近い特殊な素材であり、PE,PP比べ値段が高いです。
ただ、すごい機能を発揮していますよ。

価格と機能の相関関係は大きいですね。

https://kinousozai.co.jp/twisterlock.html

ちなみにツイスターロックでパンを冷凍すると
冷凍焼けが減ります。

ご質問ありがとうございました。

機能素材株式会社

という訳でパン袋の防臭効果(ニオイを防ぐ)はガスバリア性が関係してるようで、推測は結構いい線いっていたのではないでしょうか?

ただし、パンのメーカーによって袋に使用されている素材が違うのでそこはチェックが必要そうです。

 

重ね重ねにはなりますが、こんな質問に懇切丁寧に回答して頂いた機能素材株式会社様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございました!

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まとめ

今回はパン袋がおむつの臭いを抑えるのに有効である事に関してなぜ防臭効果があるのか?その理由について調査した結果をご紹介させて頂きました!

かなり強引な推測となってしまい恐縮です。

 

今回の記事が皆さんの暇つぶし、いや、少しでもお役に立てたら幸いです!

 

今日はここまで。それでは~。

 

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■参考文献

(1) 食品用ポリプロピレンの添加剤の分析, 河村ら(2000), 食衛誌 Vol.41, No.2

(2) GC/MSによるポリエチレン中のポリマ ー用添加剤の一斉分析法, 河村ら(1997), 食衛誌 Vol.38, No.5

(3) 酸素バリヤー性を有する食品包装材料, 愛産研食品工業技術センターニュース (平成21年3月24日発行)

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